制服を着て、空を見上げて歩いた。

…と同時に目を見開いた。


色の白い肌。

切れ長の目、ちょうどその目にかかるくらいのゆるくパーマがかった髪。

スッととおる鼻と、自慢げに口角の上がった薄い唇。

長い手足とスタイルの良さが一目でわかるボディライン。


…それはどこからどう見ても『美男子』だった。

人はこういう人をイケメンと言うのだろう。

由良もそれなりにだけれども、目の前の彼は格別だ。

「あ、あの？」

震える声で問いかけながら彼と向き合うように体勢を直すと、今度は彼が固まった。

「え？」

…と思ったのは一瞬だったらしく、彼は私をジッと見た。

「お前、ここら辺ほっつき回ってる奴だろ」

「ほっ…？？？？」

「ここ、俺の特等席だから、帰れ。」

「は？」

とても口の悪い人だと感じるには充分だったのだけれど。

「私のこと、知ってるんですか？」

…どこかの誰かが、私のことを人間としてみてくれてる、それだけで何故か涙が溢れそうだった。