制服を着て、空を見上げて歩いた。
彼は一瞬目を泳がせると再度私のことをジッとみて言い放った。
「そりゃ制服着て歩き回ってたら目につくだろうよ」
「そうですか」
「それ、東の制服だよね」
「はい」
「俺、西高通ってっから」
そこまで聞くと私は彼の方を凝視した。
彼は悪びれもなく両手をやれやれと上げて肩を上下させる。
「あなたも学校行ってないじゃないですか」
「あはは、そうだね」
「じゃあ同じです」
彼は首を傾けると切れ長の目をスッと私の後ろの景色へ向けた。
その目の色は無く、ああ同じだ、と感じ取るのに十数秒。
「それにあなたじゃない」
「はあ」
「なんだそのため息」
「名乗らないのになんて呼べばいいのかと」
彼は思ったより明るい性格らしく、初めに感じ取った冷たい物は彼にまとわりつく何かだと思った。
私と同じ、何か。