制服を着て、空を見上げて歩いた。
「母さん〜!!!!」
玄関で肩を並べながら靴を脱ぎ、由良はリビングへ向かってあの人を呼ぶ。
「あら、由良お帰りなさい。それと、永和ちゃんも」
「はい、すいません…スーパーで会って」
そう話すとその人はそうなの!!と目を輝かせてパタパタと中へ入って行く。
「あ、上がって。…っておかしいか、自分の家なのに」
「そうだね」
逃げたのは、私。
あの時、もうこれ以上傷つきたくないと思ったのは私。
「柚羽(ゆわ)さん、手伝います。」
…私はもうその人を。
「あら、ありがとう!!…由良も美人で良い子の彼女さん持てて羨ましいわ〜」
…口に手を当てて、上品に笑うその人を。
お母さんと呼ぶことは出来ない。