制服を着て、空を見上げて歩いた。
私の架空の両親は亡くなったことになっている。
あの人から見れば私は居候の身であって "家族" ではない。
そして "息子の彼女"。
とても邪魔に扱われるべき存在だった。
なのにあの人は
「由良の大切な人なんでしょう?」
と、もう一度私を家に招き入れた。
私は由良の大切な人であって、自分の大切な人ではないと。
そう言われてる気がしてならなかった。
たまに、フラッシュバックするあの人の「どちら様?…由良の知り合い?」という声。
なんで父じゃないのかと酷く恨んだ。
傷付くのが、怖かった。
「由良さんとお付き合いをしている永和といいます」
咄嗟に嘘をついた自分がいた。
由良は目を見開いてこちらを見て、私は試すように母を見る。