たくさんの物語と私
ある日突然、筆が止まった。

書きたいのに書けなくなった。

なんで?私はまだなりたいものいっぱいあるのに。

私はまだ…まだ…!

「なりたいものがあるのに…!」

目覚めると聞こえてきたのは機械の音。

目の前にある自分の手はしわくちゃで。

自分が歳をとっていたことに気が付かなかった。

「あ、おばあちゃん!」

自分の孫らしい子供が近づいてくる。

「おばあちゃんのご本読んだよ!凄く面白かった」

嬉しそうに話す少女は言う。

「私もね、おばあちゃんが書いたような人になりたいなぁ」

勇者になってお姫様になって…。

ならば、私が言う言葉はこれだけ。

「なれるよきっと。願い続けていれば努力をし続ければ、必ずなりたいものになれるさ。ばあちゃんの孫なんだから」

しわくちゃな手で孫を撫でる。

「うん!私、頑張るよ」

私は笑った。
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