ドS王子様(仮)
「―――ごめん…」


二人の間を引き離すように春風が通る。


「俺、他に好きな人がいるんだ」


学校からの帰り道。


この場所、土手は、私たち二人が付き合い始めた大切な場所。


「……優里?」


目線を靴から優希(ゆうき)の顔へうつす。


その瞬間瞳から大粒の滴が1つ落ちた。


「そう、そーだよね……」


ちゃんと笑えてるかな。


終わるなら、できるだけ相手に罪悪感を残してほしくない。

笑顔で終わりたい。


「ううん、じゃ、じゃあ!もう私達は終わり…だねっ…!」


精一杯の笑顔で言った。


「うん……ほんとにごめん」


最後まで悲しい顔させちゃったな。


優希、いままでありがとう―――。




* * *
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