打って、守って、恋して。
彼の評判


もともと、私は運動神経が相当ひどい。


小学生の頃、運動会では全員参加の徒競走でビリなのは当たり前。組体操で倒れるのも当たり前。障害物競走でパンにかじりついてもそのあとダイナミックに転ぶ。

跳び箱なんて跳べた試しがない。跳び箱の上に綺麗に馬乗りになって、はい終わり。

高校では体育祭なるものがあったけれど、苦い思い出しかない。
クラス対抗バレーボールではウィークポイント扱いされて狙われ、顔面を強打して保健室行き。キックベースでもボールの上に足を滑らせて転倒、からの保健室行き。

マラソン大会においては、道半ばで脱水状態になり一人では歩くことすらままならなくなり、先生たちの判断で救急車で病院に搬送される事態になった。


私にはスポーツのセンスがないのだと思う。

そのおかげでスポーツにはまったく興味なんて持てず、オリンピックや世界選手権やワールドカップなどテレビで放送されるようなものもほとんど見ることなく、関わりを持たずにここまで生きてきた。


それなのにどうしてなのか、少し前まではルールすら知らなかった野球を見に、私は今、球場に来ている─────





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