打って、守って、恋して。
「残念ながら私は別に用があったから話はしなかったけど。たしかに窓口での彼は別人みたいにハキハキしてたからビックリしちゃった」
「そうですか……」
「あ、それでね、栗原くんからこれ預かったよ。柑奈ちゃんとお友達に、って」
沙夜さんがバッグからやまぎんの封筒を取り出して私に渡してくる。
それよりもなによりも、なんかすごく気になることがある。
「さ、沙夜さん。栗原さんとは話したんですか?」
「うん、そう。柑奈ちゃんの連絡先知らないから、代わりに私から渡してって」
「え!?栗原さんと連絡先交換したんですか!?」
「なにか問題でも?」
ちゃっかりしてるぅーーー!
一人でどぎまぎしていると、淡口さんが少し離れたところから
「おーい、仕事しろー」
と注意してくる。
はあい、と気のない返事を揃えた。
「あれだけのイケメンと飲んだんだから、あれをきっかけに接点を持たなかったら女として終わってるよ!基本でしょ、基本」
「うわぁーー、凛子には口が裂けても言えない…」
頭を抱え込む私を見て沙夜さんは大笑いしていたけれど、笑い事ではない。ただでさえ、この間一緒にお酒を飲んだことを話したら本気で泣いていたというのに。
そんな私たちの会話に、盗み聞きしたくてしたのではないだろうが翔くんの不満そうなツッコミが入る。
「結局、女なんてみんなイケメンなんすよね!イケメンなんか爆発すればいいのに」
「翔くーん、そんな卑屈にならないで。君も可愛い彼女がいるんだから、リア充楽しんで!」
「この間別れましたよ!」
「やだごめーん!ご愁傷さま!」