打って、守って、恋して。

わいわいと盛り上がっている彼女たちを呆然と見ていたら、後ろから凛子に小突かれた。

「ほら、行くよ!」

「う、うん」


ドームから出て、夏の湿気っぽい風を全身に受けたらじんわりとまた汗が滲んでくる。
中にいれば冷房が効いているので快適だが、外は灼熱地獄である。

あまりの暑さに早速アイスティーを購入して飲んでいたら、凛子がこれでもかというほど深いため息をついた。

「こうして栗原の人気は浸透していくのよ……さっきの女の子たちも騒いでたの聞こえたでしょ?」

「ああ、うん……。栗原さん、ほんとイケメンだもんね」

「そして分かる人が見れば藤澤職人も人気が出てきちゃうのよ。彼の場合は守備技術に魅せられる人が多いのよねえ」

「…………そのようですね」

答えながら、ズンと気分が沈む。

「分かる人が見れば」という言葉が重い。
私程度の知識を持っている人はいくらでもいる。もっと詳しい人ならばなおさら、藤澤さんの魅力に気づくだろう。

あの痺れるような綺麗な守備が素敵だと、私以上に野球に詳しい子なら魅せられるのは分かっていたことだ。

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