想いの行方
「失礼します」
校長室に入ると
「おはようございます」と頭を下げた。

「おはようございます。話というのは、笠木先生に新しい先生の指導をお願いしようと思いましでね。新卒で今年から我が校の数学の先生となる斎藤将也さん。笠木先生は覚えていらっしゃいますか?」

斎藤将也さん。


将也。

「佐伯将也、あ、まーくんですか?」

「そうです。そのまーくんの指導教諭をお願いしようと思いましてね。」


驚いた!
佐伯くん、教師になったんだ!
懐かしいなぁ。



私が初めて就職した時のクラスの子だった。
体育の先生が指導教諭で、私も子ども達と一緒に走ったり、泣いたりしていた。

「笠木先生は、もうベテランですからよろしくお願いしますね」と笑顔でいわれた。

「はい。頑張ります」

「頑張らなくても、大丈夫ですよ」と笑っていた。

「笠木先生に紹介しようと思ってたんですが、サッカー部の練習に行ってしまいました」と窓の外に目を向けていた。

だから、顧問の先生が三人に見えたんだ。と私は納得していた。
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