想いの行方
一礼して、生徒たちの方へ駆けていく後姿をみつめながら

松田「学生気分が抜けて無くて、悪いな」といった。でも、斎藤先生を見つめる目が優しい。

「松田先生、保護者のようですね」

松田「教え子はみんな可愛いさ。まして、サッカー部の教え子は、特別だ。将也には、内緒だけどな。」

「気持ちわかります」

松田「だからって甘やかすなよ。あいつは、いい先生になる。笠木先生みたいにな」って、背中をたたかれた。

「痛いですょ」

松田「悪い、悪い、加減したんだけどなぁ」と笑う。
私にとって松田先生は、尊敬できる教師で、兄のように慕っている人だった。そんな先生に、不意に褒められて、顔が熱くなった。

松田「相変わらずだなぁ。そこが、いいところだな。近近、斎藤先生と一緒に食事にでも行こうな。あ、サッカー見ても大丈夫か?」って、心配そうな顔をするから、

「ありがとうございます。楽しみにしています」と返事して、グランドを後にした。

「みきちゃーん、帰っちゃうの?」

って、生徒の声に

「職員室にいるから、勉強聞きに来てねー」と手を振った。
「げっ」と言う声が聞こえて、笑えた。
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