【短】分かって気付いて傷付けて…
彼に別れを告げてからは、忙しかった。
バタバタと卒業控え、彼には内緒で受けていた関西の大学へと進学する準備をしていたから。
初めての独り暮らしは、戸惑いもあったけれど、彼の痕跡が全く無い環境が今の私には何より必要だった。
勿論、何か言いたげな彼の視線を感じないわけはなかった。
一方的に別れると言い出した私に対して不満があるのは当然のことだろう。
それでも、…もう、元に戻れるはずはなかった。