【短】分かって気付いて傷付けて…
彼が目で追っている、その人は…私なんかよりずっとずっと繊細で、零した涙でさえも純度の高い透明の鉱石のように儚い。

狡い。

そう、思う。
何度も何度も…果てしなく。

私に無いものを全て持っていて、その上で私の1番大切なモノまでも奪おうとしていく彼女が、どうしようもなく狡いと思った。


私はそんなことで泣ける程、可愛気なんてないし…。
私がここで涙を見せても、誰も得なんてしないじゃないか。

そう思うと余計に意固地になった。
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