【短】分かって気付いて傷付けて…
「ねぇ、泰己?」

「んー?」

「手、繋ご?」

「なんだよ、急に?もしかして、甘えてんの?」


そう言って、心底仕方なさそうに手を差し出してくる彼に、不満が爆発してしまいそうだった。



そうやって、惰性でこの時間を紡いでいくくらいなら…。
さっさと振って、彼女のもとへと行けばいいのに。


同情なんかいらない。
掬われない闇の中で、壊れていく感情を、貴方で埋められないなら…嘘なんか吐いて欲しくない。

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