【短】俺のモノになりなさい
「田代…?」

「なんですか?野々村さん?」

「千紘って呼んでみ?そしたら優しくしてやる」

「っ!なんなんですか!その脅しは!」


ぷんすかと怒る彼女は死ぬ程可愛いと思う。
そんな彼女の肩をしっかりと抱いて、退社する為にエレベーターに乗り込むと、案の定彼女は「この手を離せ」と言わんばかりに暴れる。


「兎のくせして、俺に歯向かうなんてムカつく。いいから食われてろ」

「…いっ…、や…」


ビクビク怯えたり、鬱陶しい程ちょこまか絡んで来たり、本当にこいつは……可愛いやつ。
震えるまつ毛の先にもキスを落とすと、抵抗する事も忘れて、彼女は俺にしなだれ掛かって来た。


「なんだ?そんなに俺のキスが良かったか?」

「……ばか」


紅くなる頬にもキスをした所で、1階に辿り着き、俺は彼女をエスコートしながら、歩みを進めた。

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