【短】俺のモノになりなさい
「野々村さんは…」

「千紘」

「…っ。千紘さんは、いっつもこうやって女の人を落としてるんですか?」

「心外だな。俺はこう見えても紳士だ」

「じゃ、じゃあなんで、なんで私には…」

「理性の蓋がすっ飛ぶから」

「…は?」

「それくらい、愛してるよ。悠衣」


さっき笑いのクリティカルヒットを食らったから、俺は熱い視線を送って愛の告白という手段を使って彼女の心に爆弾を投下してみる。


すると、彼女はパクパクと口を開け閉めこれ以上ないくらい顔を真っ赤にした。

耳たぶや首筋まで朱に染まっている彼女は、言いようがないくらいに愛しくて…キスを止められなくなる。


「ちょ、ち、千紘さん……っんんっ」

「だめだ。もう少し…」


街の雑踏の中…俺達だけがまるで切り取られたように、時が止まる。


周りの目なんか気にしてられるか。

早く、尊敬なんて気持ちを捨てて…上司と部下という垣根を超えて…俺の腕の中へと落ちて来い。

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