【短】俺のモノになりなさい
「お前ね、それ…分かってやってんの?」

「え……?」

「そんな風に簡単に男を煽るなってこと」

「な…そんなこと…」

「全く…隙、あり過ぎ…」

「んんん…」


掬い上げるようにして彼女の顔をやんわりと掴んで、俺と視線を合わせるとそのまま今日何度目かのキスを落として、強く強く抱き締めた。


ついばむようにしてキスを繰り返すと、泣きだしてしまいそうな彼女。

それが、男を煽るということに、まだ彼女は気付いていない。


「本当に、危なっかしいな、お前は」

「…千紘さんに、だけです。ばか」

「ばかとか言うな。このままここで抱いて欲しいのか?」

「やだ!」


ぐいぐいと胸元を押されて、俺はくくくっと喉の奥で笑った。


「嘘だよ。お前の可愛い顔をこれ以上誰にも見せたくないからな…だから…部屋に来い…いいな?」


耳元で撫でるような吐息を吐くと、彼女はコクコクと素直に頷く。
それが可愛くて、よしよしと頭に手をやった。

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