【短】俺のモノになりなさい
がちゃ


「悠衣…」

「や…待って…」

「待たない…これ以上は待てない」


玄関に入るなり、後ろから掻き抱くと、それをもがいて何とか逃げようとする彼女。
そんな彼女に焦れて、バサリと着ていたコートごと、まるで包むように彼女を抱き上げると、リビングまで押し進むことにした。

行儀は悪いが、足で器用にドアを開けてから、どんどんと部屋の奥へと進む。
勿論、彼女へのキスは止めずに…。

「千紘さ…」

「黙れよ…悠衣」

不安気な揺れる瞳の中に自分が映っていることの優越感に、浸りつつ獰猛な狼になったような気分で彼女にのしかかる。

「だ、め……」

「どうして…?」

「だって…」

「拒むなよ…傷付くだろ…?そんなに俺の事が嫌いか…?」

「ちが…っ」

「じゃあ……好きって言えよ。俺が欲しいって…」

言葉で拒む癖に、細い指は未だ着たままのコートにすがり付く。

小さな手は震えてはいるけれど、その先を望んでいるようで、顔が緩む。
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