死にたい君に夏の春を


伸びたラーメンを完食し、ゴミを片づける。


時間を見たらもう17時。


変な時間に食べてしまって、夕飯はどうするか考える。


僕達は座って、ただぼーっとしてた。


「暇だね」


「暇だな」


遊び慣れていない僕らは、周りに何も無い時何をすればいいのかがわからない。


会話がない中、彼女が聞いてくる。


「一颯はさ、いつもなにしてるの?」


「ゲームやったりアニメ観たり……
まぁ、そんなだけ」


「ゲームって楽しい?」


「僕はほとんど他の奴らに合わせてやってるだけで、心から楽しんだことは無いな」


「ふーん」


「お前はいつもなにやってるんだ?学校休んだりしてるけど」


「よく食料を調達しに行くよ。いつもお金が無いからさ」


「へぇ」


食料調達ってつまり、万引きを生業としているということだよな。


食料調達並に盗んできたのに、今まで捕まらなかったというのがすごい。


「やっぱ、何していいのかわからないな」


「でも私、この時間が一番好きかも」


「どうして?」


「暇ってことは、平和ってことだから」


「……確かに」


僕もこの時間が好きだ。


今までずっと暇だと言い続けていたが、これほど幸せな暇はない。


「ぼーっとするか」


机に肘をつき、顎を乗せて呆ける。


何も考えずに、ただこの幸せを噛み締める。
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