死にたい君に夏の春を


そんな時間は過ぎ、遅めに2度目の食事をとる。


その後の時間、僕らは色々な話をした。


何故か人間の起源だとか、宇宙の果てだとか、突拍子もない会話。


そんなくだらない話をしていた。


沢山寝たにも関わらず、眠気は襲ってくる。


明日の夏祭りを楽しみにしながら、2人は眠りについた。


僕は夢を見た。


海の浜辺を眺める夢。


そこには、白いワンピースの半袖から、真っ白な腕を通した栞が無邪気に遊んでいた。


僕が望む、未来の情景。


こうやって2人で遠い所に行って、色んなものを食べたり、遊んだりして。


そんな未来が、よかったのに。


明日、ちゃんと言うんだ。


栞は生きてて欲しいって。


生きてたら、必ず不幸なことを塗り替えるような幸せが見つかるって。


こんなこと、
僕が言うべきじゃないんだろうけれど。


僕は彼女のおかげで変われたんだ。


正直に言ったら、
きっと思いとどまってくれる筈だ。


そしてその幸せな夢は、徐々に見えなくなった。
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