死にたい君に夏の春を
結局何も言えず、九条を尾行する羽目になった。
織部はまるで未知の生き物を見るかのように、意気揚々とした表情をする。
九条はゲームセンター近くの小さな商店街まで来た。
シャッターを閉めている店が多いからか、人通りが少ない。
そして彼女は、八百屋の前で足を止めた。
「あいつ飯食うのかな?」
冗談半分だが、実際に彼女が食べ物を食べるところを誰も見たことがない。
何故か給食の時はいつも、姿を消していたからだ。
彼女はキョロキョロと不自然に周りを警戒し、そして。