死にたい君に夏の春を
「あの日の夜のことも、私の住んでるところも、あの人に言わなかったから」


あの人。きっと織部のことだ。


なぜ彼女は、言わなかったことがわかるのだろう。


やはり見透かされている気がする。


「他の人だったら面白がって言いふらすのに。どうして?」


関わりたくない。


前の僕ならそう言ってた。


だけど今は、迷いのない真っ直ぐな言葉で。


「興味を、持ったから」


君をもっと、知りたいと思ったんだ。
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