死にたい君に夏の春を
家への帰り道、僕と九条は一緒に帰ることになった。
僕のアパートも廃墟のビルも、同じ方向だったからだ。
2人ともずっと無言だったが、ついに九条が口を開いた。
「ところで、青春ってなにするの?」
「…………」
おいおい。
あんな誘い方して自分は知らなかったのかよ。
「青春っていうのは、つまり、えーと……」
何も思いつかなかった。
思えば僕は、青春というものを感じたことないし、漫画でもそんな表現はあったが、僕には全く理解できなかった。
「本には、遊んだり、勉強したり、恋したりするって書いてあったけど。そんなことして楽しいの?」
「さぁ……。僕も知らん」
うーん。
しばらく2人で悩んだが、なにも考えは浮かばなかった。