死にたい君に夏の春を
そんな母親をみて育ってきた僕は、人と関わるのが嫌いになった。


ただ、全く関わらない訳ではなく、程よい距離感で友達を作っていた。


友達を作らないと、かえって面倒なことになるからだ。


いてもいなくても変わらない、そんな存在であり続けた。


だが昨日出会った少女、九条 栞(くじょう しおり)は人と関わるのが下手だった。


誰とも喋らず、学校も休むことが多い。


久しぶりに来たと思ったら、ただ寝るだけで授業なんてまともに受けやしない。


声を聞いたのは、昨日が初めてだったくらいだ。


ボサボサな髪だったり、夏でも長袖のセーラー服を着たりと、みんなから変人扱いされていた。


だからいじめられた。


クラスの女子の中心的人物たちから、面白がられていたのだ。
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