死にたい君に夏の春を
最高気温35℃。
強い日差しが照りつけ、アスファルトからは鉄板のような熱気がでてくる。
体中の穴という穴から汗が吹き出してしまうくらいだ。
視界にコンビニの看板が入り、思わず小走りになる。
扉が開くと共に涼しい空気が体を覆う。
涼しい。
これが天国と言うべきか。
「あ、高階」
僕の名前を呼ぶ、聞き覚えのある声。
その方向を見てみると、同級生の織部 誠(おりべ まこと)の姿があった。
うわ、最悪だ。
こんな所で会ってしまうとは。
「今嫌そうな顔しただろ」
「してないって。久しぶり」
めんどくさそうと思ったのは事実である。
彼は立ち読みしていた漫画を元に戻し、こちらに向かってくる。
「あっそ。なぁ、高階って夏休みの予定ある?たまには遊びに行こーぜ」
「あるっちゃあるけど……。俺ら受験生だぞ?」
「いやー、あれだよ。1日ぐらい息抜きしてもいいだろ」
これは夏休みの宿題すらやっていない反応。
まぁ、それは僕もだけれど。