あの頃、きみといくつもの朝を数えた。―10years―
キッズスペースも完備されている個室に案内されて、俺たちは四人掛けのテーブルに腰を下ろす。
普段は人見知りが激しいという優月も、生まれた時から顔を見ているおかげかこうして会えば俺にべったりで、食事の時も決まって俺の隣へと座る。
「ゆづね、唐揚げと炒飯食べるの」
優月は行儀よく子ども用の椅子に座っているけど、母親である岸は離れていると心配でたまらないようで、優月の一挙一動にハラハラしていた。
とりあえず飲み物を注文して、俺と三鶴はビール、岸はウーロン茶、優月はカルピスで乾杯した。
「なんかまだお前らが家族になった実感がないんだけど」
ビールを一気に流し込み、岸と三鶴の顔を交互に見た。