地味子のセカンドラブ―私だって幸せになりたい!
7.私の風邪がうつったみたいで看病に行った!
木曜日の午後、今度は岸辺さんの体調が悪いみたい。身体がだるくて、仕事に集中できないから、早退すると言う。今日の午後は会議もないので、吉本さんと私に仕事の指示をして帰って行った。
私の風邪が見舞いに来てくれた時にうつったに違いない。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
次の日、9時前に岸辺さんから電話があった。身体がだるくて節々が痛くて、熱も下がらなくて39℃あると言う。休暇届を出すことと今日の仕事の指示をされた。これから近くの医院に行くと言っていた。
今日の金曜日には午後からプロジェクトの進捗会議が設定されていた。進捗会議はプロジェクトの各担当がそれぞれの進捗状況を報告して情報を共有するための会議で、何かを決めることはない。
司会はプロジェクトリーダーの室長が行い、説明はプロジェクトマネージャーの岸辺さんが行うことになっていた。会議に使う資料はすでに私が作って完成していた。
室長のところへ行って、岸辺さんから今日も熱が下がらないので休暇届を出すのを頼まれたことと、プロジェクトの進捗会議の資料を説明して室長の指示を仰ぐように言われたことを話した。
室長からは、横山さんが資料を作ったので説明もしてくれればいいと言われた。
午後1時からプロジェクトリーダーの室長の司会で進捗会議が始まった。資料の説明は私がして、各担当から進捗状況の報告があり、会議は滞りなく終了した。
すぐに会議録をまとめて室長に提出した。室長に、岸辺さんが2日も休んで心配なので見舞いに行きたいと言って住所を教えてもらった。
岸辺さんのマンションは駅から5分と近かった。さすが岸辺さん、いいところに住んでいる。入口で携帯に電話する。
「岸辺さん、調子どうですか?」
「熱が下がらないので、1日寝ていた。医者へ行って薬を貰って飲んだからあと1、2日で良くなると思う」
「お見舞いに来ました。マンションの入り口にいます。ドアを開けて下さい」
「ええ…お見舞い、分かった、開けるから。部屋は3階の309号だ」
ドアのチャイムを鳴らすと、疲れた様子の岸辺さんが立っていた。「失礼します」と靴を脱いですぐに上がる。リュックと途中で買って来たレジ袋をキッチンに置いて、料理を始める。
「休んでいてください。簡単な夕食を作ります」
「悪いね、わざわざ来てくれて」
「帰り道だから気になさらないでください。上司の様子を見に来ました。室長に許可を得ていますし、住所も教えてもらいました。私の風邪をうつしたみたいで申し訳ありません」
「横山さんも誰かにうつされたんだろう」
「吉本さんかもしれません。先々週、身体がだるいとか言って、1日休んでいましたから」
「我がチームは風邪で全滅か! ところで、今日の進捗会議どうなった? 報告だけだから問題はなかったと思うけど」
「はい、岸辺さんに言われたとおり、室長のところへ資料を持って行って説明しました。そして岸辺さんに室長の指示を仰げと言われていますといったら、資料を作ったのは私だから説明役をしなさいと言われました」
「それでどうなった?」
「いつも岸辺さんがしているように説明しました」
「それで」
「滞りなく会議は終わりました。すぐに会議録を作って室長に提出してきました」
「室長はなんか言っていた?」
「岸辺君がいなくても大丈夫だな! と言っておられました」
「それは言い過ぎだと思うけど、まあ、うまくいってよかった」
「夕食は消化の良いうどんにしました。食べてください。食欲はありますか?」
「お腹は空く。いただきます」
私も一緒に食べる。
「だしが効いていてとてもおいしい。おかわりある?」
「食欲があるから大丈夫みたいですね」
岸辺さんはお腹が一杯になると元気が出てきたみたい。熱を測ると37℃だった。
私は、食事の後片付けをしてから部屋を一回り見て歩いた。それから、ベッドのそばにある一人掛けのリクライニングソファーに腰かけた。
10畳くらいの生活スペースには、家具と言っても、他には大型テレビ、パソコン用の机と椅子、大きめの書棚、座卓しかない。
それに少し大きめのセミダブルのベッド。これに岸辺さんが寝ている。これくらいの大きさがあるとベッドの上で1日過ごせそう。
「この一人掛けのソファー座り心地が良いですね」
「外国製で値段も相当したけど、これに座ってテレビをみるといつのまにか眠ってしまうほど座り心地がいい。椅子とベッドは休息に使うものだから納得のいくものにしている」
「やっぱりブランド好きですね。このお部屋も広くて良いですね、お家賃も高いでしょう」
「本社に異動になった時に独身寮から引っ越したんだ。家賃を会社が1/3払ってくれると言うので少し高いけど良い物件を選んだ。広めの部屋だとゆったりできる」
「彼女が来ても良いように?」
「ううんーまあ、それもあるかな。でも残念ながら誰も来たことがない。横山さんがはじめてだ」
「女の人が独身男性の部屋に行くときは相当な覚悟をして行きますから」
「相当な覚悟ね!」
「私が来たのは業務の一環ですから、誤解しないでください。室長にも断ってきましたから」
「分かっているよ」
「確かに、女性の痕跡が全くありませんね。それに彼女がくるのに本棚にアダルトビデオなんか置いていませんよね!」
「ええ・・そうか、会社で女の子に言いふらすのだけはやめてくれ。健康な独身の男なら誰でも持っているよ!」
「大丈夫です。言う訳ありません。だって、ここへ来たのは室長しか知りませんし、誤解されると困りますので他言はしません。安心してください。でも私も興味があるので貸してください」
「もう、勘弁してくれ! 熱が上がりそうだ」
「へへへ・・・」
私の風邪が見舞いに来てくれた時にうつったに違いない。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
次の日、9時前に岸辺さんから電話があった。身体がだるくて節々が痛くて、熱も下がらなくて39℃あると言う。休暇届を出すことと今日の仕事の指示をされた。これから近くの医院に行くと言っていた。
今日の金曜日には午後からプロジェクトの進捗会議が設定されていた。進捗会議はプロジェクトの各担当がそれぞれの進捗状況を報告して情報を共有するための会議で、何かを決めることはない。
司会はプロジェクトリーダーの室長が行い、説明はプロジェクトマネージャーの岸辺さんが行うことになっていた。会議に使う資料はすでに私が作って完成していた。
室長のところへ行って、岸辺さんから今日も熱が下がらないので休暇届を出すのを頼まれたことと、プロジェクトの進捗会議の資料を説明して室長の指示を仰ぐように言われたことを話した。
室長からは、横山さんが資料を作ったので説明もしてくれればいいと言われた。
午後1時からプロジェクトリーダーの室長の司会で進捗会議が始まった。資料の説明は私がして、各担当から進捗状況の報告があり、会議は滞りなく終了した。
すぐに会議録をまとめて室長に提出した。室長に、岸辺さんが2日も休んで心配なので見舞いに行きたいと言って住所を教えてもらった。
岸辺さんのマンションは駅から5分と近かった。さすが岸辺さん、いいところに住んでいる。入口で携帯に電話する。
「岸辺さん、調子どうですか?」
「熱が下がらないので、1日寝ていた。医者へ行って薬を貰って飲んだからあと1、2日で良くなると思う」
「お見舞いに来ました。マンションの入り口にいます。ドアを開けて下さい」
「ええ…お見舞い、分かった、開けるから。部屋は3階の309号だ」
ドアのチャイムを鳴らすと、疲れた様子の岸辺さんが立っていた。「失礼します」と靴を脱いですぐに上がる。リュックと途中で買って来たレジ袋をキッチンに置いて、料理を始める。
「休んでいてください。簡単な夕食を作ります」
「悪いね、わざわざ来てくれて」
「帰り道だから気になさらないでください。上司の様子を見に来ました。室長に許可を得ていますし、住所も教えてもらいました。私の風邪をうつしたみたいで申し訳ありません」
「横山さんも誰かにうつされたんだろう」
「吉本さんかもしれません。先々週、身体がだるいとか言って、1日休んでいましたから」
「我がチームは風邪で全滅か! ところで、今日の進捗会議どうなった? 報告だけだから問題はなかったと思うけど」
「はい、岸辺さんに言われたとおり、室長のところへ資料を持って行って説明しました。そして岸辺さんに室長の指示を仰げと言われていますといったら、資料を作ったのは私だから説明役をしなさいと言われました」
「それでどうなった?」
「いつも岸辺さんがしているように説明しました」
「それで」
「滞りなく会議は終わりました。すぐに会議録を作って室長に提出してきました」
「室長はなんか言っていた?」
「岸辺君がいなくても大丈夫だな! と言っておられました」
「それは言い過ぎだと思うけど、まあ、うまくいってよかった」
「夕食は消化の良いうどんにしました。食べてください。食欲はありますか?」
「お腹は空く。いただきます」
私も一緒に食べる。
「だしが効いていてとてもおいしい。おかわりある?」
「食欲があるから大丈夫みたいですね」
岸辺さんはお腹が一杯になると元気が出てきたみたい。熱を測ると37℃だった。
私は、食事の後片付けをしてから部屋を一回り見て歩いた。それから、ベッドのそばにある一人掛けのリクライニングソファーに腰かけた。
10畳くらいの生活スペースには、家具と言っても、他には大型テレビ、パソコン用の机と椅子、大きめの書棚、座卓しかない。
それに少し大きめのセミダブルのベッド。これに岸辺さんが寝ている。これくらいの大きさがあるとベッドの上で1日過ごせそう。
「この一人掛けのソファー座り心地が良いですね」
「外国製で値段も相当したけど、これに座ってテレビをみるといつのまにか眠ってしまうほど座り心地がいい。椅子とベッドは休息に使うものだから納得のいくものにしている」
「やっぱりブランド好きですね。このお部屋も広くて良いですね、お家賃も高いでしょう」
「本社に異動になった時に独身寮から引っ越したんだ。家賃を会社が1/3払ってくれると言うので少し高いけど良い物件を選んだ。広めの部屋だとゆったりできる」
「彼女が来ても良いように?」
「ううんーまあ、それもあるかな。でも残念ながら誰も来たことがない。横山さんがはじめてだ」
「女の人が独身男性の部屋に行くときは相当な覚悟をして行きますから」
「相当な覚悟ね!」
「私が来たのは業務の一環ですから、誤解しないでください。室長にも断ってきましたから」
「分かっているよ」
「確かに、女性の痕跡が全くありませんね。それに彼女がくるのに本棚にアダルトビデオなんか置いていませんよね!」
「ええ・・そうか、会社で女の子に言いふらすのだけはやめてくれ。健康な独身の男なら誰でも持っているよ!」
「大丈夫です。言う訳ありません。だって、ここへ来たのは室長しか知りませんし、誤解されると困りますので他言はしません。安心してください。でも私も興味があるので貸してください」
「もう、勘弁してくれ! 熱が上がりそうだ」
「へへへ・・・」