one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
スマホ事情 *理玖*
ほっんと、純な奴……。
っていうか……
スマホ、持ってなかったんだ。
「……?」
そんなことを思いながら部屋に戻ると、自分のスマホが見当たらなかった。
部屋を出て階段を降りる。
リビングのドアを開けると、母親と瑠依が何かの言い合いをしていた。
「ただLINEしたりゲームしてるだけじゃん」
「だから、それにしたって料金が高すぎなのよ。瑠依のスマホは」
どうやらこっちもスマホネタで一悶着してるらしい……。
「あっ、理玖! ちょっと瑠依に言ってやってよ」
「……は? 何だよ?」
「この子ね、今月の携帯代ニ万超えてたのよ?」
それさ……
俺じゃなくて親父に言うことじゃないわけ?
相手間違ってるだろ……。
「中学生でこれじゃ困るわよ。そう思わない? 瑠依、お兄ちゃんだってスマホ代こんなにいかないわよ?」
「だってそれはお母さんが――」
「プラン変えるとか、使い方見直せばいいんじゃない?」
どんどん加熱する言い合いに口を挟むと、 二人がピタリと止まる。
瑠依がパッと明るい表情を見せた。