one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


足を止め振り返ると、そこには知らないおじさんが一人。

スーツを着た、少しふくよかな中年のおじさんが立っていた。


「どうかしたのかな?」

「えっ……」

「何か探しているのかと思って」


初対面のおじさんは、親切にもそんな質問を投げかけてくれる。

キョロキョロしてたのが目についたのかもしれない。


「あ、あの、私……友達と映画を観ることになってて……」


高まる不安から、私は思い切って今の自分の状況を話し始めていた。


「友達と……映画?」

「あ、はい。それで……はぐれちゃったみたいなんです」

「じゃあ、その友達が見つからないのかな?」

「はい。あの、それで……もしかしたらここの他にも映画館があるのかなって……」

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