one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
「あぁ、なるほど。それで探してるんだね」
「はい、そうなんです。初めて来たところなので、わからなくて……あのっ、この他にも映画館ってありますか?」
そうきいてみると、おじさんはにこりと微笑み頷く。
「あるよ、他にも」
そう答えた。
「ちょっとわかりづらいからね、迷っても仕方ないよ。よかったら連れて行ってあげようか?」
「えっ、本当ですか? ありがとうございます!」
おじさんは見ず知らずの私に感じよく微笑むと、背中を押してもう一つの映画館へと案内してくれる。
親切な人に声を掛けてもらえてよかった……。
これで映画にも間に合うかもしれない。
ホッと一安心し、私はおじさんの道案内に身を任せた。