one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「あ゙ー! じゃあ俺、捜しに行ってくるし。絶対迷子になってるよ」

「あたしも! 捜し行く」


静かになりつつある館内で、二人の慌てふためく声が人目を引く。

周囲の人間がチラチラとこっちに煙たそうな視線を送っていた。


「俺が捜してくるから、お前らはここにいろ」


我慢ならなくなって、俺は騒ぎを静めるためにそう言っていた。

立ち上がったままの二人を割って通路に出る。

ちょうどその時、館内の照明が暗く落とされた。


「え、理玖一人で行くのかよ? 俺も行くって!」

「そうだよ! あたしも行く」

「三人でぞろぞろ行って、もしアイツがここに来たらまた行き違うだろ。それにほら、映画も始まったし」


突っ立つ二人を「座った座った」と、席に追いやる。


「俺一人で十分だから。すぐ戻ってくる」


立ち去る俺に、二人が「理玖!」と口々に呼び止めた。

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