one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
やっぱり王子様
「あの……結構離れているんですか?」
「そうだね、もう少しで着くよ」
さっきいた建物を出て、人で賑わう外の広場へ。
もう一つの映画館はどうも違う場所にあるみたい。
おじさんに道案内をされながら、私は疑問で胸がいっぱいになっていた。
こんなにわかりづらいなら……
こころちゃんだって先に行ったりしないと思うんだけどな……。
そんなことを思う。
広場から階段を降りていき、人通りの少ない道路に続く道へと出た。
やっぱり……離れすぎてない?
何か、おかしいよね……?
「あの……映画、始まっちゃってるんですけど、まだかかり――」
不安になってそう声を掛けた時だった。
ビクッとなって、言葉を失いかける。
おじさんが突然、私の手首を強く握ったのだ。
「じゃあ……もうちょっと急ごうか」