one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


じわりと涙が出かけた時、教室のどこかから突然名前を名指しされた。

ハッとして顔を上げる。

教室内がざわついていた。


「加山さんならハマり役だと思います」


手を上げて発言していたのは柏木さん。

チラリと私へと目を向け、ふんわりと微笑む。

続いて合田先生が「そうかぁ!」と上機嫌に声を上げた。


えっ……な、何の話?


「加山、柏木からの推薦だけど、やってみる気はないか?」


そう言った合田先生の背後には、『学園祭、白雪姫』と白いチョークで書かれている。


「あ、あの、ごめんなさい……何の話ですか?」


訳がわからなくてそうきくと、合田先生が黒板を指差した。


「何だ加山、聞いてなかったのかー? 学園祭のこと決めてんだ」

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