one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
「……っ」
視界を奪われたままのキスは、今までて一番スリリングな感触だった。
時間にしたら二秒、三秒。
すぐに唇は離れて解放されていた。
でも、暴れる心臓が落ち着かない。
目を隠されたままどんな顔をしたらいいのか困惑していると、急に理玖くんの手が離れ、眩しい蛍光灯の光に目が眩んだ。
「何だよ、その構えた感じ。意識ないんだからおかしいだろ?」
「わっ!」
ため息混じりの声と共にグイッと体が起こされる。
床に座り込んだ体勢になると、おでこを指でツンとされた。
まだ光に眩む目で理玖くんを見上げる。
立ち上がった理玖くんは、こっちを見下ろしてうっすら笑みを浮かべているようだった。
「ったく、全然ダメ。大丈夫なわけ? そんなんで」
えっ……
だって、そんなこと言われても……今のは……。
「本番まであと三日じゃん」