one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
優しい魔法
だめ……。
やっぱりダメだよ!
「どうしよう……」
どこからともなく賑やかな声が聞こえてくる中、私は一人、空き教室で台本とにらめっこ。
とうとう間近に迫ってしまった劇の本番を前に、セリフの確認作業をしている。
絶対暗記できてるはずなのに、不安で不安で仕方ない。
今朝、学校の門の前で見た『GLORIA FASTIBAL』という大きく掲げられた看板を見た瞬間から、頭の中が真っ白になってしまった。
とうとう今日……。
数時間後には舞台上で……。
そう思うと、せっかくの学園祭を楽しむ余裕なんて全く持てなくなり……。
学園祭が始まってからというもの、人目につかないところでこうして緊張と戦っている。