one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
えっ……。
り、理玖くん⁈
腕の中に包み込まれると、いつもする理玖くんのいい香りが鼻をかすめていく。
びっくりする間もなく急接近すると、理玖くんは私の後頭部にそっと手を添えた。
「もっと自信持て」
え……。
「うちのクラスであの役できんの……桃香しかいないって俺は思うけどな」
「え……そんなこと……」
「変な意味じゃなくて、そんくらいハマり役だってこと」
抱き締めた体勢のまま、理玖くんは落ち着いた声で私の頭に囁きかける。
その声が初めて聞くような優しい声で、ドキドキはいつの間にかホッとするような不思議な気持ちに変わっていった。