one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「さっき……純太が探してた」


手のぬくもりが髪を通して伝わってきた頃、理玖くんは抱き締めた腕をさり気なく緩めた。

体を離して、またじっと私を見つめる。

間近で見た整いすぎの理玖くんの顔に耐えきれず、私は学ランの第2ボタンにバッと目をそらしていた。

視界に入る、真っ直ぐな理玖くんの視線に息を詰まりそうになる。


「あ、ありがとう、ございます……純太くん、探してみ――」


そこまで言った言葉は、理玖くんがオデコに落としたキスで続きが言えなくなっていた。

おまじないでもかけるような、優しい一瞬の口付け……。

赤く染まり上がる私を置いて、理玖くんは開け放したドアへと歩いていく。

勇気の出る優しい魔法を私にかけ、理玖くんは教室を出ていった。

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