one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「何で」

「何か今さっき、一年生のイカ焼き食べたら急に腹痛になっちゃって!」


アイツ……

馬鹿か……。


「それで、トイレ入ったっきり出て来ないの!」

「……で、俺にどうしろって? 一緒にトイレ行って、説得でもしろってことか」

「いや、そうじゃなくて!」

「腹いてーんなら説得しても無駄だろ?」

「だから、ちがくてっ!」


「もう!」なんて言ったこころは、痺れを切らせたように貯水タンクのハシゴを登り始める。

俺の前までやってくると、強引に腕を引っ張り上げた。


「とにかく! 一大事なの! 一緒に来て!」


意味がわからないままグイグイと引っ張られ、俺は重い腰を上げる羽目になった。

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