one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
連れて来られたところで、この様子じゃ俺にだってどうすることもできない。
「おい、大丈夫なのか?」
とりあえず声を掛けてみると、中からはカラカラとトイレットペーパーを巻き取る音が聞こえてくる。
直後、「りーくぅー……」という助けを求めるような声がした。
「……ダメそうだな、そんな調子じゃ」
「おぅ、無理っぽい……」
「……こころ、とりあえず行って、純太の代わり誰かに頼め」
「え……でも……」
「もう時間ないだろ? それしかない」
話をまとめるようにこころにそう言うと、個室の中から「ちょっと待った」と純太が話に割り込んだ。
「なんだよ、出れそうなのか? だったら早く――」
「理玖に頼みがあんだ……」
「なんだよ?」
「親友としての……一生の」
「わかったから、だからなんだよ?」
「よし……こころ、あとは頼んだ」
「オッケー! 行くよ理玖!」
示し合わせたような純太とこころ。
何が何だかわからないうち、こころにトイレから連れ出された。