one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
教室が目前に迫った時、純太が急に足を止めた。
またそんなネタかと思いながら立ち止まると、純太は廊下の壁にふらふらっと近付く。
背中を壁に預けて、俺の顔を凝視した。
確かに、前にも同じことを聞かれたことがある。
けど、あの時は純太が聞いておきながら自分で話を折った。
桃香が好きだと、告ってきた……。
あの時は何でそんなことを探っているのかと疑問に思った。
でも、今は意味がわかる。
桃香が好きだから、俺のことがやたら気になる。
一つ屋根の下で同居する、俺の気持ちってやつが気になってる……。
だから、そんなことを……。
「どうって……クラスメートでただの同居人、ってとこだけど?」
「え、そんだけかよ?」
「それ以外に何があんだよ?」
そう言うと、純太は壁から離れて俺に詰め寄ってくる。
マジな顔をして、ジリッと近付く。
「……好きとか、そういうの、ないわけ?」