one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「え……」

「……テストの結果だけじゃないでしょ?」


そう聞かれて、つい黙り込んでしまう。

無言のまま数歩歩き、こっちを見る純太くんへ顔を向けた。


「私、ね……帰ろうと思って、宮城に」

「えっ……」


できるだけ普通に、何ともないような顔をしてそう言った。

そう言われた純太くんは、足まで止めて表情を固める。

驚いた顔をされ、へへっと笑って目をそらした。


最近ずっと考えていた。

宮城に帰ったほうがいいのかもしれない。

東京には、もういない方がいいかもしれない……って。


理玖くんにフラれたからとか、そんな理由じゃない。

でも、このまま理玖くんのそばにいれば、私は自分の目標も見失う気がする。


だから……。


「桃ちゃん……ちょっとちゃんと話そう」

< 349 / 405 >

この作品をシェア

pagetop