one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
改めて言って、また涙が出そうに込み上げてきた。
それを振り払うように、くしゃりと笑って誤魔化してみる。
「アイツ、そんなこと……」
「理玖くん、優しいから……だから、私のこと、気に掛けてくれてたんだよ……」
「桃ちゃん……」
その優しさは、好きだとか嫌いだとか、そんな感情の元にあるものじゃない。
理玖くんは、純粋に私を気に掛けてくれてただけ……。
だから……。
「あ、でも、勘違いしないください。私が宮城に帰るのは、理玖くんのせいとか、そんなんじゃないから」
「でも」
「このままじゃ、浪人しちゃいそうだし……」
「……本気なの? 桃ちゃん。本気で……帰るつもりなの?」
「うん……」
純太くんに話しながら、自分に言い聞かせているような気分になっていた。
理玖くんのそばにいたら……。
心の中にある本当の理由は、純太くんに話すことはもちろんできなかった。
このことは理玖くんには黙っていてほしい。
最後にそれだけ、お願いした。