one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
「……桃香?」
理玖、くん……。
目を開ければ、きっとすぐそこに理玖くんの顔が見える。
でも、私に閉じた瞳を開く勇気はない。
本当は最後に、この目に理玖くんの姿を焼き付けておきたいとも思う。
でも……それは許されない。
呼び掛けに応じない私の横で、理玖くんはどんな顔をして私を見下ろしているんだろう……?
具合が悪いっておばさんに聞いて、様子を見に来てくれたのかな……?
そんなことを考えていると、おでこにそっと手が触れるのを感じた。
その手は前髪をかき分けておでこを撫で、頬っぺたに下りてくる。
理玖くん……。
目を開けたい衝動に駆られたその時、理玖くんは私をから手を離し、静かにベッドをあとにした。