one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
読み終えて、胸が詰まるような感覚を覚えた。
手紙をしまわず、置かれた紙袋を代わりに手に取る。
りぼんをほどいて中に手を突っ込むと、ふわりと柔らかいものが手に触れた。
取り出すと、中から出てきたのはモノトーンの毛糸で編まれたマフラーだった。
「ハァ……」
何で、何でこんな勝手に……。
マフラーを掴んだまま部屋を出る。
さっきは躊躇した桃香の部屋の扉を勢いよく開いた。
もういないとわかってはいる。
でも入った瞬間、空虚な気持ちが押し寄せた。
綺麗に片付けられた部屋が何とも言えない気分にさせる。
どうして、何で。
どこにぶつければいいのかもわからない感情がふつふつと湧いてくる。
何がしたいかもわからないまま部屋へ踏み込むと、机の上にスマホが置いてあるのが目に入った。