one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


こころがやってくれたと言っていた、桃香のゴテゴテスマホ。

開いてみると、丁寧に電源がおとされていた。

長押しして、電源を入れてみる。

起動した画面を見ていると、懐かしい写メが現れた。

思わずフッと笑いそうになる。

ふざけて待受にしろと言った写メを、言いつけを守って変えずにいるところが桃香らしい。

強ばった横顔を見つめながら、そっと電源をオフにした。


スマホを置いていったなら、連絡しようにも連絡の取りようがない。


「理玖……?」

「……?」


閉じたスマホを元の場所に置いた時、背後から小さく名前を呼ばれた。

振り返ると、開け放したドアの前に母親がポツリと突っ立っていた。

< 378 / 405 >

この作品をシェア

pagetop