one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
こころがやってくれたと言っていた、桃香のゴテゴテスマホ。
開いてみると、丁寧に電源がおとされていた。
長押しして、電源を入れてみる。
起動した画面を見ていると、懐かしい写メが現れた。
思わずフッと笑いそうになる。
ふざけて待受にしろと言った写メを、言いつけを守って変えずにいるところが桃香らしい。
強ばった横顔を見つめながら、そっと電源をオフにした。
スマホを置いていったなら、連絡しようにも連絡の取りようがない。
「理玖……?」
「……?」
閉じたスマホを元の場所に置いた時、背後から小さく名前を呼ばれた。
振り返ると、開け放したドアの前に母親がポツリと突っ立っていた。