one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


なりふり、構わず……。


「きっと、あの時追い掛けてなかったら……今でも後悔してたかもしれない。ありがとうもごめんねも……何も言えないまま別れてたら、ね……」


言われる言葉を反芻しながら、ただじっと母親の姿を見つめ続ける。

返す言葉一つないまま黙りこくっていると、再び母親が俺を真っ直ぐ見つめた。


「……後悔しない? このまま別れて」


後悔……。


「しないと思うなら、別にいいわ」

「…………」

「ただ、あなたが何かを思ってこの部屋に来たのなら……私は後悔だけはしてほしくないって思う」


それは……。


自分でもよくわからない。

自分の気持ちとか、今、どうしたいのかとか。


でも……。


わかろうとしてない……のかもしれない……。

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