one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
楽しそうな人たちを見るたび、寂しさが込み上げてくる。
何でこんなとこに来ちゃったのかと後悔しながらも、見つけたクリスマスツリーに「わぁ」と歓喜の声を上げてしまった。
荷物をドサッと地面に起き、手すりを乗り出す。
海の真ん前に立つ巨大なクリスマスツリーは、あの日テレビと見た時と同じように光り輝いていた。
本当は……
理玖くんと観に来れたかもしれなかったんだよね……?
『二人っきりで行ってみる?』
そう言った理玖くんの声が蘇り、ふと、地面に置いた荷物に視線を落とした。
大事なペットでも連れるように、バッグに入れてきたぬいぐるみ。
つぶらな瞳で一緒になってクリスマスツリーを眺めているようで、思わずバッグから抱き上げた。
「綺麗だね、クリスマスツリー……」
人の目も気にせず、抱っこしたミニチュアダックスにクリスマスツリーをしっかりと見せてみる。
理玖くんがくれたぬいぐるみは、かじかむ私の手を柔らかく温めてくれた。