one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
ドキドキという心臓の音なんか越えて、動きが止まるくらいの衝撃が胸を駆けた。
今……何、て……?
俺の……そばに……?
それこそ聞き間違えをしたと思えた。
瞬きを忘れて静止していると、背中を包む理玖くんの手が髪にそっと触れてくる。
よしよしと優しく撫でられた。
「どうなんだよ?」
「えっ……」
「ここまで言っても……帰るつもりなわけ?」
やっぱり、これは……聞き間違えじゃ……ないの?
髪を撫でていた手で頭を抱き寄せ、更に力強く私を抱き締める理玖くん。
目にいっぱい溜まった涙が溢れ出す。
「……でも、私――」
「だったら……この腕、振り払って行けよ」