one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


ドキドキという心臓の音なんか越えて、動きが止まるくらいの衝撃が胸を駆けた。


今……何、て……?

俺の……そばに……?


それこそ聞き間違えをしたと思えた。

瞬きを忘れて静止していると、背中を包む理玖くんの手が髪にそっと触れてくる。

よしよしと優しく撫でられた。


「どうなんだよ?」

「えっ……」

「ここまで言っても……帰るつもりなわけ?」


やっぱり、これは……聞き間違えじゃ……ないの?


髪を撫でていた手で頭を抱き寄せ、更に力強く私を抱き締める理玖くん。

目にいっぱい溜まった涙が溢れ出す。


「……でも、私――」

「だったら……この腕、振り払って行けよ」

< 392 / 405 >

この作品をシェア

pagetop