one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


気付けば両手の荷物をドサッと手放し、理玖くんの身体に腕を回していた。

遠慮とか、恥ずかしさとか、もうその類の気持ちは全く優先されなかった。

しがみつくように理玖くんに抱き付く。

涙が溢れてわんわん泣き出した私を、理玖くんはなだめるように背中をさすってくれた。


「桃香……」

「……?」


泣き続ける私をそっと離して、理玖くんは顔を覗き込んでくる。

ぐしゃぐしゃな自分の顔が今更恥ずかしくて俯こうとすると、理玖くんの温かい手が冷えた顔を包み込んだ。

綺麗な顔が、ほんのり笑みを浮かべる。


「帰るなんて言っても……帰らせない」


理玖くんっぽいそんな言葉と共に、甘く甘く唇を塞ぎ込まれた。

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