one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
桃香を連れて帰ってくることが、想定の範囲内だったらしい母親の置き書き。
もしこれで、俺が一人寂しく帰ってきたら、どんだけ不快な話だ……。
なんてチラリとそんなことを思いつつ、フッとつい笑う自分がいた。
いや……
でも、やっぱりさすがだと思う。
きっとこうなることをわかっていて、母親はこんな演出をしたんだって、何故だかそう思える。
いつも落ち着きがなくて、こっちが不安になることもあるような親だけど、やっぱり何十年も俺より生きてきて、やっぱり大人で……。
やっぱり……人の親、なんだな。
そんな風に思うと、自然と心の中が感謝の気持ちでいっぱいになった。
サンタとトナカイのマジパンが載るケーキを見つめていると、ポケットの中でスマホが震え始める。
取り出して見てみると、画面には新着メッセージの表示があった。